有川浩の人間と猫の絆に心温まる一冊『旅猫リポート』

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  好きな作家である有川浩さんの旅猫リポートを映画見る前に読んでみた!

 

 デビュー作の『塩の街』に描かれた純愛に泣き、大好きな岡田准一主演の『図書館戦争』シリーズも瞬殺で読破してきた。

 有川浩さんの本はどれもこれも好きだが、この『旅猫リポート』も後半から涙が止まらず、愛すべき本となったので、初めてだが読書記録をしてみる。

 

 一応、目次のようなものを…

  1. あらすじ
  2. サトルとナナの絆
  3. どんな不幸な状況でも不満を言わず幸せを掴んだサトルの生き方
  4. まとめ

 

1.あらすじ

  我輩は猫である。名前はまだ無い。そんな野良猫と、主人公のサトルはつかず離れずの顔見知り。適度な距離感を掴んでいた。

 しかしそんな関係を大きく変える運命が訪れる。車に撥ね飛ばされ怪我を負った猫は、サトルに助けを求める。怪我は治ったが猫はサトルの元で生活することになった。

 サトルは猫をナナと名付け可愛がっていたが、よんどころない事情でナナを手放さなくてはならなくなった。

 ナナの新しい飼い主を探す旅が始まる。

 

2.サトルとナナの絆

 サトルがナナを手放さなくてはならなくなったのは、自分が病気で余命僅かなまでに至ってしまったからである。

 始めの方で、サトルがリストラされて猫を飼っていられない状況になったという説が上がった。

 しかしスギとチカコのストーリーで、サトルの命が…?!ということに気づかされてしまった。信じたくなかった。主人公が亡くなってしまう話は、やりきれない気持ちになり苦手なのだ。

 新しい飼い主を探す旅なのに、見合いが上手く行かないと、嬉しそうにナナを車に連れ帰るサトル。

 手放したい訳がないよね、本当はずっとそばにいてほしいんだよね、、涙

 旅の最後に、サトルもナナも生まれて初めての二つの虹を見れて良かった。虹の情景が浮かんできた。

 ふたりでいるのがこんなにこんなにしっくり来るのに、僕らが離れているなんて本当におかしなことだと思わないかい?

 入院しているサトルと再会できたナナの言葉。

 本当はサトルもナナを置いて行きたくなくて、病院に連れて行きたくて、会えないのが寂しかった。

 ナナは叔母のノリコから逃げ、サトルに会いに行くようになる。

 サトルのそばに最後までいる。

 最後までサトルの猫で居続けようとする。

 その姿に、本当にサトルを大切に思っていることが伝わってきた。

 サトルも本当にナナを慕っている。

 最高のパートナーなんだなあ。

 人間と猫との間にこれほどまでの絆が生まれるなんて!こんなに意思疎通できるなんて!

 この二人(一人と一匹)に結ばれた絆、互いを想う優しさ、温かさに感動した。

 

3.どんな不幸な状況でも不満を言わず幸せを掴んだサトルの生き方

 サトルは生みの親に捨てられ、育ててくれた両親も小学生の時に事故で亡くしている。慕っていた猫のハチも飼えなくなり、別れなければいけなくなる。引き取ってくれた叔母ノリコの仕事の関係で転校が多く、慣れない土地で生活しなければいけなかった。ハチにそっくりのナナを飼うことが出来るようになったのに、30歳そこそこの若さで病気になり亡くなる。

 これだけ見れば、サトルの人生は不幸の連続だ。

 しかしサトルは自分の身の上を不幸だと思っていない。

 生みの親に捨てられたことさえ、よその人にこんなに大事にされるなんて幸せだと言う。

 私がサトルた同じ境遇だったら、その境遇を言い訳に使うだろう。よその満足いく境遇の子を羨やむだろう。

 なのにサトルは全く不満を言わない。

 最後まで笑って過ごそうとする。

 そして本当に幸せに逝く。

 サトルが亡くなってからも、ナナの心の中でサトルと過ごした5年間は生き続けるし、サトルを慕う人たちはサトルを想って繋がっている。

 たくさんの人に愛されたサトルは、ノリコの言う通り幸せだったと思う。

 友人への最後の手紙にも、楽しいことばかり書いて、ありがとうで締めくくる。

 笑顔で別れたかったサトル。

 そんなサトルを尊敬するし、サトルみたいになりたいと思った。

 

4.まとめ

 主人公が亡くなってしまう話って、辛くて心にぽっかり穴が空くような気持ちになるから苦手だった。

 でもこの話は、あたたかくて優しい気持ちになれた。

 そして切実にナナを飼いたい、、!ナナが愛おしい〜〜

 今まで犬派だった(飼ってないけど)のに、この本読んでから一気に猫好きになったかも!

まだまだ有川浩さんの作品で読んでいない作品があるから読んでいきたい。